Betaflightの設定(2):F3系フライトコントローラーの概要



これまでレースドローンの分野ではNaze32というフライトコントローラーが広く利用されてきましたが、最近は次世代のF3プロセッサを搭載したフライトコントローラーが人気となっています。Naze32はSTM32F1というプロセッサを使用していましたがこれらF3対応のフライトコントローラーではSTM32F3というプロセッサを使用しています。

STM32F1もSTM32F3もどちらも動作周波数は72MHzですので基本性能は大きく違わないことになります。STM32F1とSTM32F3最も大きな違いはF3には強化されたデジタル信号処理機能(DSP)と浮動小数点ユニット(FPU)が追加されていることであり特に浮動小数点計算処理において大きな性能差を発揮します。これは浮動小数点処理を用いてPID制御を行う Lux float (PID controller 2)を使用する場合に効果を発揮します。逆に言えば従来よく使用されている整数処理を用いたMultiwii(PID Controller 0)やMW Rewrite(PID Controller 1)を使用している限りはそれほど大きな差はないということになります。(他にも性能向上部分もあるのでそうでもないという意見もあります。)

F3系のフライトコントローラーのもう一つのメリットとしてはプロセッサが他のモジュール等とシリアル通信を行うためのUARTのポートを3つ備えているという点があります。フライトコントローラーは通常設定等のためにパソコンとUSB通信を行うためのUARTポートが1つ、またOSDと通信を行うためにもう一つのUARTが必要となります。さらに受信機からより高速に信号を送ることができるSBusやDSMX Spektrum信号を受け取るためにはUARTが一つ必要となります。そのため従来のNaze32では一つのシリアルポートをUSBとOSDで共有するかSbusを諦めてPPM信号を使用する受信機を選択する必要がありました。F3系のフライトコントローラーを使用することでこのようなUARTのポート数の心配をする必要がなくなります。
ここではSTM32F3というプロセッサを使用したフライトコントローラーであり、OSD機能も同一のボード上に搭載しているためシンプルな構成が可能なBeerotorF3 (BRF3)を使って以降の設定の説明を行っていきたいと思います。BeerotorF3 を例としていますがNaze32や他のフライトコントローラーハードウェアであってもBetaFlightまたはCleanFlightの基本的なセットアップ要領の参考にもなるかと思います。